「肩こり」はよく知られた「疲労の代表」ともいえる症状です。
それだけ多くの方が日頃から悩まされているわけですが、なかには「肩こり知らず」と呼ばれる人もいます。
「同じ職場の○○さんは『肩がこるなんて経験したことがない』って言ってたわ。うらやましい。」
いったい「肩こりで悩まされる人」と「肩こり知らずの人」の違いは何なんでしょうか?
疲労の感じ方(知覚神経)は人によって違う
「匂い」や「味」の感じ方に個人差があるように、「疲れ」の感じ方にも個人差があります。
イメージでわかりやすいのが、「体力の差」や「年齢の差」による疲れの感じ方の違いです。
ところが似たような年齢・体格の人同士でも疲れの感じ方は差があるのです。
この「感じ方の差」(知覚神経の敏感・鈍感の差)が「肩こりのある・なしの差」になっています。
同じように筋肉が疲労して固くなっていても、それを「肩こりとして苦にする人」と「コリを感じず気にならない人」に分かれるのです。
そして余程の自由人でない限り、肩こりが全くないという方は世の中にいないと思います。
「肩こりは辛い」から感じない方がいい?
肩こりに悩まされている方から見ると、肩こり知らずの方はうらやましい限りです。
「自分も肩こりなんか感じなければいいのに…」
たしかに「辛い症状」を単なる「悪いもの」と捉えるならばその通りです。
でも人間が「痛い」「シンドイ」「しびれる」など、つらい感覚を感じるのは、自分の身を守るための機能なのです。
例えば背中に切り傷を負い、ドバドバ出血している人がいたとします。
すごーく痛そうに見えますが、でもその人は何らかの理由で背中の知覚神経が麻痺しているため、痛みを感じません。
あなたが「ちょっと大丈夫?背中からすごい血が出てるよ!!」
と心配して尋ねたのに対し、その人が「全然痛くないし、へーき平気!」
と答えたら、あなたは「あの人はあんなに傷を負っていても痛く感じないなんて羨ましい!」と思いますか??
極端な例えですが、肩こりも似たようなものです。
肩がこりかたまり、脳への血流が阻害され、首の神経が圧迫されているのに、何もつらさを感じない…。
疲れているのに、自分がそれに気づかないことほど、恐ろしいことはありません。
疲れを感じなかったら、多くの人が「休息」より「やりたいこと」をやろうとします。
疲れてないから、もっと運動してこよう。
疲れてないから、もうちょっと家事頑張ろう。
疲れてないから、睡眠時間を削って趣味のことをやろう。
実は「肩こり」をはじめ、痛みやだるさといったものは、オーバーワークを防ぐための予防線なのです。
痛いから、もうやめよう。
しんどいから、早く寝よう。
こういったパターンを守ることが、健康を維持することにつながるのです。
時々「元気印の疲れ知らずで有名な人が、ある日突然倒れる」というような話を耳にしますが、こういった場合、疲れを感じていなかっただけで、本当はすごく疲れていたんじゃないかなぁ?と思います。
周りが何を言おうと「最終的に自分の行動をコントロールして健康を守ることは、自分にしかできないこと」なのです。
「肩こり知らず」が「肩こりが気になる人」になる整体院
当整体に通っていただいてると、今まで「肩こり知らず」だった人が、「肩こりがわかるように」なるケースがあります。
最初、腰が辛くて通っているうちに、腰は楽になったけど、今まで感じたことのない肩こりを感じるようになってきた…
こういったパターンは多いです。
でも前述したように、これはむしろ喜ぶべき変化です。
体を良くしていく段階で、知覚神経が活発になって、肩の疲れをちゃんと感じるようになるわけです。
決して、最初より肩の筋肉が固くなっていくわけではありません。
「固すぎて感じない肩」でいるのではなく、「柔らかくて軽い肩」を目指しましょう。
M Fujieda
三重県四日市市で整体師をしています。 (略歴 早稲田大学理工学部を卒業後、メーカー勤務を経て2000年より現職)
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